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のワイン販売を支持した。1993年と1994年には、二の数字は70%以上に増えた(ライフマン1994)。世論調査でははっきりした結果は出ていない。しかし、食料品店でのワイン販売に賛同するスウェーデン人の数が増加したことを疑う理由はない。

 

4つの独占事業の廃止
スウェーデン(及びフィンランド)のアルコール独占事業は、スウェーデンと欧州委員会の間の最も困難な交渉課題の1つであった。EU内での自由貿易を主要目標としていることを考えれば、独占事業に対する否定的姿勢も理解できなくはない。これはEUの「憲法」であるローマ条約(the Treaty of Rome)にもうたわれている。
国家の取引独占事業については、第37条に「加盟国は商業的性質を持つ国家独占事業を徐々に調整し、移行期終了時には、商品生産及び販売条件に関し、加盟国国民の間に差別が生じないようにしなければならない。」と定められている。但し、公衆衛生の観点から導入された独占事業であれば認められることもあるという記述もあり、スウェーデンは国内の全ての独占事業がこれにあたると主張した。
長期にわたる話し合いの末、委員会は、スウェーデン(及びフィンランド)が、輸入・輸出・製造・販売の4つの独占を廃止すれば小売り専売公社の存続を認めるという妥協点に達した。但し小売り専売公社による飲食店への販売独占も廃止するという条件付きであった。小売り専売公社に対する1つの重要な条件は、差別行為を行わないことである。
欧州委員会が小売り専売公社を認めたのは、この専売公社は商業上の理由ではなく公衆衛生と社会的理由から存在していると判断したからである。またこの専売公社は貿易障壁となる立法を禁じるローマ条約第30条に反するものではないと判断されている。
小売り専売公社が二の種の障壁となるかどうかについては、まもなく欧州委員会司法裁判所(the Court of Justice of the European Communities)での判決が下る予定である。その背景には、スウエーデンが既にEUのメンバーとなっていた1995年初めに、食料品店の店主が自分の店でワインを販売したという事実がある。

 

輸入割当ての変更
前述のように、EUの主旨は、加盟国間で自由貿易を行う巨大な共通市場を形成することにある、これはつまり、個人が個人用の商品を購入し、割り増し課税なしに持ち帰ることができるということである。自由貿易がもたらすもう1つの意義は、加盟国間では国境規制を一切行わないようにすることである。
加盟交渉でのもう1つの困難な問題は、個人が他のEU諸国からの帰国の際に持ち帰ることのできるアルコール飲料の量であった。
公衆衛生上の観点から、スウェーデン(及びフィンランド)は、EU諸国間での個人輸入に対して認められている大量のアルコール基準(蒸留酒10リットル、フォーティファイドワイン20リットル、テーブルワイン90リットル、ビール110リットル)を受け入れなかった。

 

 

 

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